ファイナンス

ファイナンス学習日記⑥ ~ファイナンス視点で見るプロダクトライフサイクル~

プロダクトライフサイクルという言葉をみなさん、ご存じでしょうか?

「当然に知っている」

「なんとなく聞いたことあるような」

「全く知らない」

など、反応さまざまあると思いますが、図で見ると、一度は見たことあるって方多いと思います。

こちらの図です!

いかがでしょうか?

知らなかった人も大丈夫です!

今回はこのプロダクトライフサイクルを理解しつつ、

プロダクトライフサイクルまつわるファイナンス関連の話をご紹介します!

はじめに

みなさん、こんにちわ。

本ブログの管理人のRRです。

今回はファイナンス学習日記⑥です。

6回目の今回は

ファイナンス視点でみるプロダクトライフサイクル

について、私が学習したことをご紹介します。

 

本記事の対象者は、

  • ファイナンス学習初学者
  • ファイナンスをこれから勉強してみようかなと思っている方
  • いきなり財務系の部署に異動になった方

向けの内容です。

 

解決できることは、

  • ファイナンスについてそれとなく語れる豆知識が欲しい。
  • プロダクトライフサイクルについて理解したい

です。

では、いってみましょう!

プロダクトライフサイクルの定義

プロダクトライフサイクルとは、

製品が市場に投入されてから、衰退して寿命を終えるまでの流れを体系づけたもの

です。

プロダクトライフサイクルは、製品の売上と利益の変遷を、

  1. 導入期
  2. 成長期
  3. 成熟期
  4. 衰退期

の4つに分類しています。

そして、この4段階でどう戦っていくべきかの気づきを与えてくれます。

 

この定義にもあるように、

どんな会社、どんなサービスも人の生き死にと同じで、永続することはありません。

必ずいつか死ぬんです。

あのアマゾンの元CEOで、世界の長者番付で1位にもなったこともある、ジェフ・ベゾスですら、

「アマゾンもいつかは倒産する。できるのは、衰退を遅らせることくらいだ。」

という趣旨の話をしています。

もう一回、プロダクトライフサイクルを回す

「とはいえ、長年続いている老舗企業もあるじゃないか?」

という疑問が湧くかと思います。

おっしゃるとおりで、そういった企業もあります。

が、それら老舗企業はもれることなく、衰退を遅らせる方法論を実践しています。

方法論としては、2つあります。

継続的改善

1つ目は継続的改善です。

サービス品質、業務効率、集客施策などあらゆる改善を通して、成熟期の期間を延ばし、衰退のスピードを遅らせます。

 

たとえば、

  • マーケティングを活用して、顧客がサービスを利用する回数や一人あたりの単価を増やす
  • 小さなサービス品質の改善を続けて、顧客の利用頻度を減らさない
  • 徹底した業務改善で、仕組み化を実現し、サービスの原価を下げる

といったアプローチになります。

別のプロダクトライフサイクルを回す

2つ目は、

別にプロダクトライフサイクルを回す

です。

これは具体例で説明するのがわかりやすいです。

フェイスブック社をイメージしてください。

フェイスブック社は、社名と同じSNSサービスである、Facebookが成熟期に入ってきたことを理解しました。

そして、その当時、まだ無名に近かったインスタグラムをかなりの高値で買収しました。

これが、超絶ヒット!

現在、インスタグラムが世界で伸びています!

Facebookと別に、もうひとつのヒット商品でプロダクトライフサイクルを新たに回したんです。

ただ、みなさんもお気づきのように、もはやインスタグラムですら、すでに成熟期に片足を突っ込んでいるイメージです。

最近の商品のプロダクトライフサイクルのスピードが加速度的に速くなっているんです!

 

なので、Facebookは第3のプロダクトライフサイクルの波を起こすことを模索しています。

そのためにいろいろな企業買収をしかけたり、事業の立ち上げをしています。

そして、今、最も注目度が高いのが、メタバースのSNSプラットフォームの「horizon」です!!

 

メタバース市場が伸びるのを見越しているんですね!

Oculusというメタバース体験ができるデバイスも販売しています。

このようにメタバース市場に全力で取り組んでいるのが、今のフェイスブックです。

なので、フェイスブックの動きの根底には、このプロダクトライフサイクルの発想があることをお忘れなく!!

プロダクトライフサイクルにおけるキャッシュの流れ

冒頭ご紹介した図は、企業・サービスにおけるPL視点で作られたプロダクトライフサイクルです。

これをキャッシュフロー計算書ベースに置き換えると、下の図のようになります。

この表から、ファイナンス視点で語れる大きなポイントは2つ!!

営業キャッシュフローの赤字でもOKな時期がある

「営業キャッシュフローが赤字です!」

と聞くと、その事業や企業は、ちょっとヤバいんじゃないかと思いますよね。。。

 

万が一、2,3期連続で営業キャッシュフローが赤字になったら、会社の事業としての価値にいよいよヒビが入ってしまっている感じです。

早急なビジネスモデルの変換・改善が必要な状態と推測されます!

 

そんな、ヤバそうな営業キャッシュフロー赤字状態ですが、

ひとつだけ例外があるんです。

 

表を見てもらうとわかると思うのですが、

事業の導入期・成長期においては、営業キャッシュフローは赤字であること多いんです!

 

それはなぜか?

まだ製品が市場に受け入れられてないからです。

シェアが少ないんです。

だから、お金が入ってこないのは当然ですよね。

 

じゃあ、会社がつぶれるのかと言えば、そんなことはありません。

財務キャッシュフローがプラスだからです。

企業の新規事業なら経営陣、スタートアップ企業なら投資家に事業の可能性を感じてもらって、運転資金を出してもらっている状態です。

財務キャッシュフローがプラスなのはそういう理由からです。

なので、事業や会社が期待されているうちは、営業キャッシュフローは赤字で会社のお金を垂れ流していてもなんとかなります。

財務キャッシュフローで資金をまかなえるからです。

実際に上場するスタートアップ企業の過去の財務状況を見ると、大抵の場合、上場直前まで、営業キャッシュフローも営業利益も赤字であることが多いです。

成長と配当はトレードオフ

日本の上場企業の中期経営計画で一部見られる表現に、

株主への配当をしつつ、事業成長を継続します

といった趣旨の文言があります。

 

この文言はちょっと違和感のある文章です。

「どっちなの??」

と、ツッコミたくなります。

なぜなら、一般的に、事業成長と株主への配当はトレードオフの関係だからです。

 

この根拠として、GAFAMの具体的事例でご説明します。

  • グーグル→創業から未だ無配当
  • アップル→1997年から2012年まで配当なし
  • フェイスブック→創業から未だ無配当
  • アマゾン→創業から未だ無配当
  • マイクロソフト→創業から2002年まで配当なし

GAFAMの中で配当を出している会社はアップルとマイクロソフトしかないんです。

この2社以外の3社は、なぜ株主への配当を行わないのでしょうか?

 

それは、事業成長に投資するためです。

まだまだ企業として、のびしろがある。

だから、配当にお金を回している場合じゃない!

っていう意思の表れなんです。

 

じゃあ、配当をもらえないのに、株主はなにに価値を感じているのでしょうか。

どうして、グーグルやフェイスブック、アマゾンの株式を買うのでしょうか。

 

答えは、
キャピタルゲインに期待して、株式を買っている

です。

わかりやすくいうと、今日買った株が、仮に1株100円だとしたら、明日には150円、明後日には200円と値上がりしていくことを期待しているんです。

マイクロソフトが好調決算による株主配当を発表したら株価が下落

2003年にマイクロソフトが初めて株主配当を行うことを発表しました。

この時、市場では、

「ついにマイクロソフトも配当を出す会社に成り下がってしまったのか」

というがっかりした声が聞かれました。

そして、それが株価の下落にもつながったのです。

この裏側に働く心理としては、

マイクロソフトはもう今の事業に関して成長の余地がないと経営陣が判断している

ということです。

 

つまり、もうキャピタルゲインは見込めないわけです。

で、あればキャピタルゲインが見込める他の銘柄を選ぼうと、マイクロソフト株に売り注文がついたわけです。

 

余談ですが、アップルも同様です。

もう、世界的にiPhoneが行き渡ってしまっています。

現段階では、iPhoneの細かな改良や他デバイスとのペアリングがアップルの基本戦略となっています。

こういった戦略だと爆発的な成長は見込めないので、あまった資金を株主配当に回しています。

ですが、アップルだってこの配当がいつまで続くかはわかりません。

次の成長の種を発見したら、また配当を辞めて成長に全振りする可能性もありえます。

 

このように世界の中心たる米国の大企業たちで考えると、

成長と配当は常にトレードオフの関係であり、それを市場も理解して動いています。

かたや日本は、ご紹介した中期経営計画でよく見られる文言を見ると、

このトレードオフの関係をきちっと理解している上場企業の経営者はどこまでいるのか。

少し疑問を持たざるを得ませんよね。

日本企業はキャッシュリッチ

日本の多くの上場企業はキャッシュリッチです。

ですが、日本上場企業の多くは配当もしていなければ、投資も積極的に行っていません。

なので、キャッシュを上手く活用できずに、キャッシュの割には株価が低い企業が多いと言われています。

 

こういった企業が多いひとつの理由としては、

ほとんどの日本企業が成熟期にいる

ということがあげられます。

まもなく衰退期にさしかかる市場が多いということです。

こうなると、事業成長に向けての投資先すら見えなくなってます。

これはまずい状態です。

ただ、裏を返すと、このリッチなキャッシュを次に伸びる企業・市場に投資することができれば、大きく飛躍できます。

そのためにも既存の事業や市場に執着することなく、広い視野を持ってファイナンス戦略を練ることが今の日本企業に求められています。

おわりに

いかがだったでしょうか?

今回は、「ファイナンス視点で見るプロダクトライフサイクル」というテーマでお話ししてきました。

まとめると、

  • プロダクトライフサイクルとは、製品が市場に投入されてから、衰退して寿命を終えるまでの流れを体系づけたもの
  • どんな会社、どんなサービスも人の生き死にと同じで、永続することはありません。必ずいつか死にます。その対策としては、①成熟期の期間を延ばし、衰退を遅らせるか、②新しいプロダクトライフサイクルの波を起こすの2つ
  • 営業キャッシュフローの赤字が続くと、基本的に企業としてはまずい状況だが、サービスや企業が導入期・成長期は営業キャッシュフローが赤字続きである場合が多い
  • 成長と配当はトレードオフの関係にある。株主配当を開始する企業は、その事業において成長が鈍化していることの表れ

です。

本記事は以上となります。

ひきつづき、令和のビジネスマンの必須スキルであるファイナンスについて学習していきましょう!!

では、また!

【参考書籍】

-ファイナンス