脱・犬の道、根性に逃げたらアカン
みなさん、こんにちわ。
本ブログの管理人、RRです。
今回は安宅和人さんの「イシューからはじめよ 知的生産の「シンプルな本質」」についての章要約をします。
本書はあまりにも学びが多すぎて、要約で切り捨てるのがもったいなさすぎます!
ということで、章単位で要約していくことにしています。
この本の構成として、
- 脱・犬の道
- イシュードリブンー「解く」前に「見極める」
- 仮説ドリブン①イシューを分解し、ストーリーラインを組み立てる
- 仮説ドリブン②ストーリーを絵コンテにする
- アウトプットドリブンー実際の分析を進める
- メッセージドリブンー「伝えるもの」をまとめる
となっています。
今回は、この本の前提部分、「脱・犬の道」について解説していきます!
では、いってみましょう!
常識を捨てる
「イシューからはじめよ」では、優れた知的生産を行うための前提となる考え方として、
- 「問題を解く」より「問題を見極める」
- 「解の質を上げる」より「イシューの質を上げる」
- 「知れば知るほど知恵が湧く」より「知りすぎるとバカになる」
- 「1つひとつを速くやる」より「やることを削る」
- 「数字のケタ数にこだわる」より「答えが出せるかにこだわる」
引用:2010 英治出版 「イシューからはじめよ 知的生産の「シンプルな本質」」著:安宅和人
と定義しています。
本書は、個別具体のテクニック論に終始するライフハック系の書籍とは視点とは異なります。
より高い視座で知的生産の高め方が書かれています。
そうなると、
「抽象的な言葉が多くて、読みにくいんじゃないの」
と、言われそうですが、けしてそんなことはありません。
具体的事例も豊富でわかりやすい文章です。
生産性とは
本書での生産性の定義は
です。
これはもう自明のことですが、
一言でいうと、
労力・時間を割かずに多くのアウトプットを生む
が生産性の定義となります。
「多くのアウトプット」=バリュー(価値)のある仕事
ここできちんと言語化しておきたいのは、
「多くのアウトプット」
という言葉です。
少し抽象度が高いので、具体的にしておかなければなりません。
「多くのアウトプット」は、別に数量的に仕事をたくさんこなせばいいという訳ではありません。
ビジネスパーソンという前提に立てば、「多くのアウトプット」は、
対価がもらえる「バリュー(価値)ある仕事」(以下、バリューのある仕事)
となります。
バリューのある仕事とは
ここで、
「バリューのある仕事もまだ抽象度高いんですけど。。。」
というツッコミが入りそうなので、より詳しく解説します。
おそらく「バリュー」という言葉の定義が曖昧なので、「バリュー」を深掘りしていきます。
ここでいう、「バリュー」とは、2つの軸で成り立つ言葉です。
- ①イシュー度
- ②解の質
です。
さらに、ここでいう①イシュー度、②解の質の意味として本書では、
僕の考える「イシュー度」とは「自分のおかれた局面でこの問題に答えを出す必要性の高さ」、そして「解の質」とは「そのイシューに対してどこまで明確に答えを出せているかの度合い」となる。
引用:2010 英治出版 「イシューからはじめよ 知的生産の「シンプルな本質」」著:安宅和人
と定義しています。
また、一般的なイシューの定義として、
a)2つ以上の集団の間で決着のついていない問題
b)根本に関わる、もしくは白黒がはっきりしていない問題
この両方を満たすもの
引用:2010 英治出版 「イシューからはじめよ 知的生産の「シンプルな本質」」著:安宅和人
とも紹介しています。
イシューに関して、捉えにくい人は「課題」と理解してもらって大丈夫です。
「イシュー度と解の質、両方が高いもの」
それが「バリューのある仕事」となります。
踏み込んではならない犬の道
「バリューのある仕事」、つまりマトリクスの右上の領域の仕事をするにはどうすればいいか?
ここで先にお伝えしておくのは、一朝一夕でたどり着けないということです。
このあたりが、ビジネススキル的書籍と本書が一線を画すところです。
一朝一夕では無理ですが、適切な訓練をすることによって、たどり着けるものであることをまずは理解しましょう。
なので、初めはどうしてもマトリクスの左下からスタートになります。
そして、適切な訓練をする上で、ここで絶対にやってはいけないことがあります。
それは、
ここで絶対にやってはならないのが、「一心不乱に大量の仕事をして右上に行こうとする」ことだ。「労働量によって上にいき、左回りで右上に到達しよう」というこのアプローチを僕は「犬の道」と呼んでいる。
~中略~
世の中にある「問題かもしれない」と言われていることのほとんどは、実はビジネス・研究上で本当に取り組む必要のある問題ではない。世の中で「問題かもしれない」と言われていることの総数を100とすれば、今、この局面で本当に白黒はっきりさせるべき問題は2つか3つくらいだ。
引用:2010 英治出版 「イシューからはじめよ 知的生産の「シンプルな本質」」著:安宅和人
です。
要するに、解くべき問題はとても少ないです。
それを見極める能力を養わずに、ただただ適当なイシューを見つけて、解決策ばかり考えたとします。
これでは、質の高いアウトプット能力は養われません。
まずは、イシューを見極める能力が必要となります。
そのためには、いきなり行動することは厳禁です。
まずは、
- 「白黒はっきりできるイシューはなにか?」
- 「解くべき問題はなにか」
を、事前に徹底的に考え抜くことです。
そうして、イシュ-見極める能力をとことん磨きましょう。
解決策も無限にある
事前に考え抜くときに、罠に陥ることがあります。
それは、解決策も無限にあるということです。
この解決策も無限にあるせいで、
「考え抜く=解決策を考えまくる」
という誤った打ち手に知らず知らずに陥ってしまうんです。
「そんなことあるかい?」
と、感じる方もいると思うのですが、私が見てきた現場ではほとんどがこの状況に陥っています。
理由としては、
「解決策を考えるほうが具体的で楽しい」
からです。
- AI
- VR/AR
- ブロックチェーン
などなど注目を浴びる最新のテクノロジーも全て解決策です。
CMで紹介される商品もすべて解決策。
私たちの身の回りには解決策であふれています。
ですが、その根本となる課題・イシューはあまり表に出てきません。
なので、どうしても解決策の方が自分ごとにしやすく、かつ、具体的で考えやすいんです。
この一見、「楽しそう・ラクそう」という誘惑に負けて、解決策から考える洞窟に入り、犬の道をすすんでく。。。
こうなるとビジネスパーソンとして、いくら年を重ねてもバリューのある仕事を生み出すことはできません。
「バリューのある仕事を生み出せない=生産性が低い」となり、社内や市場での評価も低い人材となります。
こういった犬の道を避けるために、イシューを見極める能力を養うことからスタートする。
イシューを見極めずに、解決策から考えることをしない。
これ、必須の考え方です。
絶対に忘れずに!!
根性に逃げるな
著者の安宅和人さんが一緒に仕事をする若いスタッフによくするアドバイスが、
「根性に逃げるな」
という言葉だそうです。
意図としては、
労働時間なんてどうでもいい。価値のあるアウトプットが生まれればいいのだ。たとえ1日5分しか働いていなくても、合意した以上のアウトプットをスケジュール通りに、あるいはそれより前に生み出せていれば何の問題もない。「一所懸命にやっています。」「昨日も徹夜でした。」といった頑張り方は「バリューのある仕事」を求める世界では不要だ。最悪なのは、残業や休日出勤を重ねるものの「この程度のアウトプットなら、規定時間だけ働けばよいのでは」と周囲に思われてしまうパターンだ。
引用:2010 英治出版 「イシューからはじめよ 知的生産の「シンプルな本質」」著:安宅和人
「「一所懸命」「徹夜」型の頑張っている系アウトプットは、私も陥っている罠だな~」
と、しみじみ感じてしまったので、紹介してみました。
みなさんはいかがでしょうか?
深く深く考える
「自分の頭でものを考える」
いろいろな自己啓発書で指摘されることですが、本書はそれは訓練さえすれば簡単なことだと言い切っています。
受け身にならずに、自分の目で、耳で、体で感じたことをベースとして世界観を作り上げればそれでいいと。
本書で、指摘しているのが、
「自分のベースとなる世界観の厚みを持たせよ。」
ということです。
自身のベースとなる世界観が、ひとつの情報や体験で構成されていては、いずれ困難にぶちあたります。
重層的な世界観にするには、世界観を構成する情報や体験に対して常に、
- 複数の情報をつかみにいく
- ひとつの情報に対して、複合的に意味合いをとらえる
こういった視点を持つことが重要です。
そして、これも一朝一夕で習得するモノでなく、日々の積み重ねが大事です。
きびしい教えですが、訓練すれば確実にできると言ってくれているところに希望を見い出せます。
一次情報を死守せよ
- 複数の情報をつかみにいく
- ひとつの情報に対して、複合的に意味合いをとらえる
この具体的アクションプランとしては、自ら現場に出向くなりして、
一次情報を掴むこと
と、本書は定義しています。
一次情報とは、
「自分が直接体験をすることで得た情報、もしくは自ら行った調査や実験で得た情報」
という意味です。
この一次情報をどう掴むかが、生産性の高い人材になるためのベースとなる力になります。
そして、「一次情報掴む」ことを、いかに良質にするかは、その一次情報に意味を感じられる場面にどれくらい遭遇してきたかによります。
なぜなら、人間の脳は「意味がある」と思うことしか認知できないからです。
5年前に仮想通貨のニュースを見ても、意味を見い出せるビジネスマンは少なかったですが、今ならそれなりの数のビジネスマンが見いだせるようになったのも、「仮想通貨」の意味を感じられる場面に多くのビジネスマンが遭遇してきたからです。
一次情報に対して意味を感じられるように、ひとつのジャンルに特化した情報収集ではダメです。
多種多様な情報にアクセスするように、日頃から心がけることが重要です。
おわりに
いかがだったでしょうか。
本記事では、安宅和人さんの「イシューからはじめよ 知的生産の「シンプルな本質」」についての章要約をしました。
今回は本書の考え方の前提となる、「脱・犬の道」についてご紹介しました。
まとめると、
- 「イシューからはじめよ」では、優れた知的生産を行うための前提となる考え方として、①「問題を解く」より「問題を見極める」②「解の質を上げる」より「イシューの質を上げる」③「知れば知るほど知恵が湧く」より「知りすぎるとバカになる」④「1つひとつを速くやる」より「やることを削る」⑤「数字のケタ数にこだわる」より「答えが出せるかにこだわる」と定義している。
- 生産性の定義は、「労力・時間を割かずに多くのアウトプットを生むこと」である。
- 多くのアウトプットとは、バリューある仕事をすることである。ここでいうバリューとは、「イシュー度」と「解の質」、両方が高い仕事をさす。
- バリューある仕事をするために、一心不乱に大量の仕事をするのは禁じ手。まずはイシューを考え抜くことから始めるべき。
- イシューへの思考を深くするには、自分のベースとなる世界観を厚くしておく必要がある。そのためにも現場に出向き、一次情報を掴むことが重要。
- 掴んだ一次情報に対しては常に、①複数の情報をつかみにいく②ひとつの情報に対して、複合的に意味合いをとらえる、といった視点を持つべき。
です。
「イシューから始めよ 知的生産の「シンプルな本質」」
は、管理人にとっては超重要な一冊のため、本記事以外にも記事を書いています。
興味が湧いた方は、下のリンクからチェックしていただけるとうれしいです。
本要約「イシューからはじめよ 知的生産のシンプルな本質」著:安宅和人 ~イシューの見極め編~
本記事は以上となります。
では、また!