私が本書で一番ささったメッセージが下の一文です。
「生命の原理や原則を客観的に理解した上で、それに抗うために主観的な意思を活かして活動できる」ということです。
引用:ビジネスと人生の「見え方」が一変する 生命科学的思考
今回は髙橋祥子さんの著書「ビジネスと人生の「見え方」が一変する生命科学的思考」についてご紹介します。
ビジネスと人生の「見え方」が一変する生命科学的思考を読むべき方
人生やビジネスシーンで使える人間の本質的な法則を知りたい方におすすめです。
本書を読んで得られる効果
日常を俯瞰し、ご自身客観的に見ることができます
それによって、
- メンタルが強くなる
- 冷静な判断が下せるようになる
- 行動力が上がる
といった効果が期待できます。
生命科学的思考の骨子
こんなこと思ったことありませんか?
- 人は死なぜ死ぬのか。
- なぜ、目の前の欲求を我慢できないのか。
- なぜ、非合理的なことをしてしまうんだろう?
- なぜ、感情に振り回されてしまうのか?
こういった疑問は、すべて生命科学の原則で説明できるらしいんです。
そして、この生命科学の原則があなたの人生やビジネスに活用できます。
本書の結論
本書の結論を先にお伝えすると、
- 人間にとって不必要と思える機能も実は合理的な理由がある
- 人間に備わる「主観的な意思」が遺伝子の制約を打ち破る力になる。
です。
本記事で解説する内容
本記事では本書の内容から、
人類の生命に共通する原則として、
・なぜ私たちは死ぬのか
・なぜ私たちは感情を持っているのか
について解説します。
なぜ私たちは死ぬのか
死、争い、悲しみ、苦しみなどなど。
人間社会には非効率的なことがたくさんあふれています。
この非効率なことは意味なく存在するわけではありません。
生命原則にのっとって存在しているんです。
その原則とは、
すべての生命は個体として生き残り種が繁栄するために行動する
です。
たとえば、食欲や睡眠欲は自分自身が生き残るためであり、性欲は種として繁栄していくためです。
そのため、これらの欲を肯定するように人は行動します。
この肯定の仕方のズレにより、人間社会は非効率的なことをたくさん行ってきました。
であれば、
- 飢えたくない
- 快適な生活をしたい
- 異性にちやほやされたい
といった欲を肯定しなければいいのか?
といえば、そうではありません。
こういった欲を否定することはなかなかできませんよね。
人間の本質的な欲求だからです。
人は生きていく上で、欲求を通して遺伝子から制約を受けている。
そういってもいいかもしれません。
なので、うまく付きあっていくことが求められます。
その発端として、まずは生命の原則として、
生命はそもそも非効率な存在である
そう理解しましょう。
あなた自身が「いつも非効率なことばかりしちゃうな~。。。」と思うのも無理はありません。
だって、そもそも人間は非効率な存在なんです。
死は非効率で非合理
なぜ人は死ぬんでしょうか。
死ぬことは、今まで積み上げてきた英知をすべて無にする行為です。
生命はなぜ死という機能を自ら実装してしまったんでしょうか。
「死ぬ」という機能さえなければ、死を恐れることなく長く生き続けられるのに。
多くの生物は「死」を恐れているので、「死」という機能を実装しないという選択肢もあったはずです。
ですが、生き物には「死」という機能があります。
この点を深く考える前にまずは不死の定義について考えてみましょう。
ロボット人間は不死とはいえない。
ロボット人間は不死なのでしょうか。
本書はその問いに対してNOと定義します。
なぜなら、不死の定義を生物学的な観点から、
同じDNA配列を持つ体を連続性を持って維持すること
と定義しているからです。
体の感覚が意識に与えている影響は非常に大きいです。
ロボット化すると思考や人格、価値観すべてが変わることが予想されます。
つまり、生身の人間のころと、連続性をもって自我を保つことができなくなります。
連続性を持って自我を保てなくなるため、不死ではないとなります。
皮膚で感じる夜風の温かさ、耳で感じる静けさ、鼻で感じる匂い・・・。
こうした身体的な感覚が急激に変化したとすれば、Ilove youを「月がキレイですね」と訳したでしょうか。
引用:ビジネスと人生の「見え方」が一変する 生命科学的思考
つまり、ロボットになると、身体から脳に送られる情報が一変します。
そうなると、以前の思考や意識を継続維持できなくなります。
不死を「連続性を維持すること」と定義すれば、別の生命体やロボットに移植した時点で遺伝子の連続性がなくなります。
なので、ロボット化すると「連続性がなくなる」、つまり、ロボット化は「不死ではない」となります。
そうなると、ロボット化した段階で生物・個体としては死を迎えます。
そして、新たな個体(ロボット)として生きることとなるわけです。
死が必要な理由、それは”非連続性の創出”である
死は連続性の喪失です。
裏を返すと、死を新しく”生命”が生まれ変わると捉えることができます。
要するに、死は非連続性の創出とも捉えることができるんです。
この非連続性の創出こそ、”死”が必要な理由になります。
なぜ非連続性の創出が必要なのか?
では、なぜ非連続性の創出が必要なのでしょうか。
それは、生命が生きる環境が変化するからです。
「個体を取り巻く外界の環境が常に変化するものである。」
生命原則はこのことを前提に作られています。
たとえば、地球の気温は全体的には人類に住みやすい温度になっています。
しかし、今のように温暖なのは、ここ一万年の話であり、それ以前は氷河期時代のようにとても寒かったときもありました。
反対に、今以上に気温が高かったときもあります。
こういった環境変化のスピードは非常に早いものがあります。
ひとつひとつの個体が、連続性をもってその変化に適応するには限界があります。
そこで、新しい生命(非連続性の創出)を常に創り続け、種をアップデートさせながら来たるべき環境の変化に備えようとするんです。
特に人類のような有性生殖を行う生命は、子どもを作るときに遺伝子の一部を変えることで親とは異なる遺伝子のセットを持つようになります。
そして、新しい生命が活動するには古い生命がいれかわっていく。
つまり、死が種の生存戦略として必要だったというわけなんです。
私たちが今、生きているのも人類が”死”という機能を実装していたからなんです。
死を通して、新しい生命を作り、絶えず環境の変化に対応してきた。
個体として生き残り、種が繁栄するために”死”という行動を選択しているんです。
なぜ私たちは感情を持っているのか
では、続いて2つめのポイント。
「なぜ感情があるのか」について解説します。
死とともに不自由なものとしてあげられるのが、感情です。
感情は人間環境を築く上で、必要不可欠なものです。
一方で、トラブルの原因にもなります。
- ストレスや不安にいつも悩まされてる。
- 感情をコントロールできない。
- ついつい気分で行動してしまう。
- だれかの目線が気になる。
そんな方もいるかと思います。
ストレスを感じずに穏やかに暮らしたい。
そう思う方もいるでしょう。
しかし、残念ながらこういった感情から逃れることはできません。
現実にはこうした感情とうまくつきあっていく必要があるんです。
なぜなら、生命にとっては感情をもつ意味が存在し、遺伝子に組み込まれているからです。
では、なぜ感情が遺伝子と結びついているのでしょうか。
それは、感情を持つことが生命としての生存戦略上に有利だと考えられているからです。
ここでもまさに、すべての生命は個体として生き残り種が繁栄するために行動するという法則が根底にあります。
感情も人類の生存戦略上に必要だった
1973年にノーベル生理学医学賞を受賞したニコ・ティンハーゲンは、
「生物の行動を理解するためには、その行動がなにを目的として引き起こされるのかという直接的な要因だけでなく、その行動が生物学上どのように獲得され、子孫を残す家庭で有利に働いたのか、という進化要因を考える必要がある」
と指摘しました。
個人がもつ感情についても、直接的な要因だけでなく、それがどのような生物学的な意味を持つのかを考えることで、より深く理解することができます。
たとえば他人に対して、怒りをおぼえてしまうのは、自分の敵に対応するためです。
孤独感は人類がまだホモサピエンスの頃、集団が生活することで生き延びてきた名残です。
そのころは、ひとりで生きること=死を意味していたので、それを避けるためのあアラートが孤独感だったのです。
こうした人間が持つ感情は、生きていく上では危険を察知してくれます。
感情はその危険から離れたり、排除したりするために必要な機能だったんです。
ですので、こうした感情を抱いたときは自分が感じているというよりも、遺伝子に搭載された機能が正常に働いていると客観視すると良いでしょう。
なかなか簡単にはいかないかもしれません。
ですが、メカニズムやその意味を知っておくと、非効率でめんどくさいものに思えるネガティブな感情とも向き合いやすくなります。
ただ、漠然と、
- 不安だ。
- 怒りっぽくなっている。
- さびしい。
などと感じるのはやめましょう。
そうではなく、「あ、今、遺伝子が正しく機能しているんだな~」と認識するんです。
そうやって客観的に分析できれば、冷静に解決策が見えてきます。
感情を真っ正面から受け止めて、うじうじ悩んでしまうと、いい解決策を考えたり、行動に移すことが難しくなりますよね。
なので、こういった客観視できるように促してくれる思考は非常に有効です。
また、別の見方として、身を守るために、遺伝子に搭載されている基本的な機能だからといって、現在の環境でもそれが最適に機能するとかぎりません。
先述したとおり、人類を取り巻く環境は日々めまぐるしく変わっています。
なので、人に備わった本能的な機能が今の環境でも本当に必要なのかどうか。
こう考えてみると、気持ちも楽になるでしょう。
たとえば、
「人間関係に悩むなんて、人類の昔の遺伝子がざわついてるだけ」
「別に人間関係が悪くなっても死にはしない」
「原始時代は人間関係が悪化して、群れから追い出されたらご飯を食べれなくて死んでたかもしれないけど、今は人間関係が悪くてもコンビニでご飯買えるじゃん!」
といった感じで人間関係の悩みに対して、平然と考えられるきっかけを与えてくれるのではないでしょうか?
まとめ
いかがだったでしょうか?
本記事では髙橋祥子さんの著書「ビジネスと人生の「見え方」が一変する 生命科学的思考」から、人類の生命に共通する原則として、
- なぜ私たちは死ぬのか
- なぜ私たちは感情があるのか
についてご紹介しました。
まとめると、
まとめ
- すべての生命は個体として生き残り種が繁栄するために行動する。この原則に則って人間の行動もたいていは説明がつく。
- なぜ生物は”死”という一見非合理的な機能を実装しているかというと、環境の変化に合わせて種が生き残るのに、”死”が生存戦略上有効だから。
- なぜ人間は感情を持っているかというと、人間を取り巻く危険を察知しやすくするため。ただ、その本能が現代の環境に必ずしも合わないことが多い。
- 感情的にマイナスなときは、「人間としての機能が正常に働いているだけ」と、考えて自らを客観視しよう!
となります。
「ビジネスと人生の「見え方」が一変する 生命科学的思考」は本書で紹介した内容以外にも多くの知見が盛り込まれた良書です。
興味が湧いた方はぜひ本書を手に取ってみてください!
本記事は以上です!