マーケティング

要約「プロセスエコノミー あなたの物語が価値になる」著:尾原和啓

みなさん、こんにちわ。

本ブログの管理人のRRです。

今回は、尾原和啓さんの「プロセスエコノミー あなたの物語が価値になる」について要約します。

本書の内容を管理人的に一言で言うと、「プロセスエコノミーの完全バイブル2021、夏」です。

現時点でここまでわかりやすく、かつ、事例を豊富に紹介している発信物は本書しかないと思います。

プロセスエコノミーについて、既に知識がある人も、ない人も気軽に読める内容になっています。

本書を読んだ管理人が本記事でご紹介する内容としては、

  • プロセスエコノミーの定義
  • プロセスエコノミーがなぜ重要なのか
  • プロセスエコノミーをどう実装するか

です。

今回の記事は、

  • 最近よくプロセスエコノミーって聞くけど、なんのこと?
  • 自分や所属する会社の商品をどうやって販売すべきか悩んでいる
  • 最新のマーケティングについて知識を深めたい

という方におすすめです。

では、いってみましょう!!

プロセスエコノミーとは、

プロセスエコノミーとは、商品を作り上げる過程にひも付く経済的価値のことをいいます。

対極にあるのが、アウトプットエコノミー。

これは従来型の、商品・サービスを完成品で売ることを指します。

現代は、アウトプットエコノミーにあたる完成品に差が生まれなくなってきている。

  • あらゆる情報や技術がネットによって一気にシェアされる
  • 牛丼は吉野家もすき家も松屋もなか卯もどれもおいしい
  • ユニクロの激安ジーンズの品質は、高級アパレルブランドたちのそれと同じかそれ以上

といった感じで様々な商品・サービスにおいて、完成品の均質化が起きています。

完成品では差が生まれない時代において、どうやって差をつけるか。

その答えとして、プロセスエコノミーがあります。

プロセスエコノミーをつきつめることで、プロセス自体に完成品以上に高い値段がつく、そういった事例も出てきています。

なぜ、プロセスなのか

なぜ、プロセスに価値が出るか、というと現代人の価値観の変化があります。

大きく2つの切り口でこの価値観の変化を語ることができます。

乾けない世代の誕生

乾けない世代とは、30代以下の生まれたときから社会に「ないものがない」時代で育ってきた世代を指します。

この世代はパソコンも携帯電話も娯楽も比較的安く手に入り、みんなが等しく楽しんでいます。

そのため、他人をうらやみ、物質的欲求を増幅させることがあまりなく育っています。

 

この乾けない世代は、それ以前の世代、乾いている世代とは違う価値観を持っています。

アメリカ人心理学者マーティン・セリグマンが唱えた「幸せの5つの軸」である、「達成」「快楽」「良好な人間関係」「意味合い」「没頭」で比較すると、

 

 

乾けない世代は「良好な人間関係」「意味合い」「没頭」という精神的な要素を大事にする価値観が強いです。

乾けない世代以前に生まれた、乾いている世代はいわずもがな、「達成」「快楽」です。

 

乾いている世代は仕事に励み、出世して、高サラリーを得て目標を「達成」し、金銭的自由を得て欲を満たす「快楽」を求めました。

乾けない世代は生まれたときから、「ないものがない」社会で育っているので、「達成」や「快楽」に重きを置いていない。

 

こういった現代人の価値観の変化が消費に影響を及ぼしています。

欲を満たしたいとか、人から羨まれるようなものが欲しいといった「達成」や「快楽」にひもづく商品は選ばれにくくなってきています。

反対に、

  • 自分が心から好きだと思えるモノ
  • 商品がまとうコンセプトが好きだ、
  • 作る人の価値観に共感している

こんな理由で商品を買う人が増えてきています。

この価値観を充足させるのに、プロセスが非常に有効で、その価値が高まっているといえます。

また、似たような話で著作家の山口周氏の「【役に立つ】より【意味がある】」という話があります。

https://diamond.jp/articles/-/210229

この話の中でも生活必需品のような役立つものでなく、自分に特別な意味を与えてくれるもののほうが価値が高くなってきていることが語られています。

これもプロセスの価値が高まっていることに紐付けられる話です。

所属欲求を満たしたい現代人

現代人は過去の人類と比較して、相対的に帰属意識を感じにくいと言われています。

もともと帰属意識を満たしてくれていた

  1. 家族
  2. ご近所
  3. 会社

という3つが全て希薄化しているからです。

この失われた所属欲求を消費活動で満たしたいという人が現代では増える傾向にあります。

そして、この所属欲求を満たしてくれるのが、まさにプロセス(過程)です。

ここでいうプロセス(過程)の具体のひとつは、商品や企業のコンセプトに共感して集まって作ったコミュニティを指します。

例えば、人気アウトドアメーカーのSnowPeakは、自分たちが掲げるステートメントを発信し、商品を作る裏側も広く消費者にアピールしています。

そして、SnowPeakの価値観に共感して集まってきたユーザーとコミュニティを作っています。

コミュニティでは、ユーザーから商品のレビューをもらい、SnowPeak社員とユーザーが一緒にたき火イベントで語り合いもします。

こういったやりとりの中で、ユーザーはコミュニティ内の帰属意識を高めていきます。

このように商品作りのプロセス発信して、集まったユーザーでコミュニティを作ることで、現代人が満たしにくい帰属意識を満たせる仕組みを構築しています。

こういった意味でもプロセスは現代人の満たされない欲求を満たすものとして、価値が高まっているといえます。

知っておくべき、プロセスエコノミーの始め方

次にどうすればプロセスエコノミーを実装できるかについてです。

プロセスを商品として売る、プロセスの価値を高めて差別化を図る具体的な手法についてご紹介します。

ポイントは大きく、3つあります。

  • 品質・機能は必須と心得る
  • WHYから始める
  • 共犯関係になる

です。

品質・機能は必須である

プロセスエコノミーという言葉から、あなたが商売を始めるときに、「商品作りのプロセスをみんな見たがっているんだ」と思って、そのプロセスを販売してもおそらくだれも買ってくれません。

まずはプロセスエコノミーを発動するには、世間一般に求められる品質・機能は最低限実装する必要があります。

その努力を怠っては、プロセスエコノミーは発動できません。

なので、品質・機能の向上をサボってでも価値を高められる魔法ではないことは理解しましょう。

Whyが重要

Apppleのスティーブ・ジョブズや、

https://jasonrodman.tokyo/steve-jobs-think-different/

サイモンシネック氏のゴールデンサークル理論など、

人を動かすためにはWhyから入るべきであるという話は現代では多く語られています。

プロセスエコノミーでも同様で、消費者に感情的に支持をもらうために必ずWhyから説明する必要があります。

企業でいうならば、理念や商品のコンセプトがこれにあたります。

より具体に落とすと、理念や商品コンセプトにひもづくオウンドメディアの発信や、オンラインサロンの運営などがこのWhyを語る施策です。

実際に、プロセスエコノミーを上手く活用している事例はこのWhyが明確です。

さきほど紹介したSnowPeakもそうですし、

キングコングの西野亮廣さんのオンラインサロン「西野亮廣エンタメ研究所」、

https://salon.jp/nishino

「北欧、暮らしの道具店」などです。

https://hokuohkurashi.com/

このようにWhyを明確にし、このWhyを常に発信するツールを持つことがプロセスエコノミーには必要です。

共犯関係になる

ここでいう共犯関係とは、商品を完成品にするための共同作業者になってもらうという意味です。

商品作りにおいて、ユーザーが入ってこられる余白を作って置いて、そこをユーザーに埋めてもらうのです。

ユーザーは商品作りの過程で自分の役割を与えられ、そこで自分の意見が商品に反映されれば商品を自分が作ったという意識を持つことができます。

その意識が消費にダイレクトにつながります。

自分が作ったと思えるモノってみなさん、買いますよね。

なので、共犯関係になることと、商品が売れることはほぼ同義に近いことになります。

また、商品に対するアウトプットが、他のユーザーも喜ぶ機能であれば、周りのユーザーからも認められて、承認欲求や帰属意識なども満たされます。

こういったユーザーが入り込める余白を作っておくことが、プロセスの価値を大きく高めてくれます。

キングコングの西野亮廣さんが、ご自身が主催するイベントで、運営・企画に参加できるチケットを販売したら即完売したという話もあります。

これもまさに、イベントにユーザーが入り込める余白を作っている施策です。

https://ryukyushimpo.jp/news/entry-876649.html

おわりに

いかがだったでしょうか?

今回は尾原和啓さんの「プロセスエコノミー あなたの物語が価値になる」について紹介しました。

本記事の内容をまとめると、

  • プロセスエコノミーとは、商品を作り上げる過程に紐付く経済的価値のことをいう。
  • プロセスエコノミーが重要となった背景として、完成品で差がつけられない時代になってきたことが前提としてあげられる。
  • 加えて、現代人の消費の価値観が変化してきた。「達成」「快楽」を求めるというより、「良好な人間関係」「意味合い」「没頭」という精神的な要素を大事にする人が増えてきている。(本書でいう「乾けない世代」)
  • 家族、地域、会社など帰属意識を感じることが出来たモノが希薄化している。この穴埋めをするために、現代人はコミュニティに属したい願望が生まれてきている。
  • プロセスエコノミーを実装するためのポイントは①品質・機能は当然求められる、②Whyが重要、③共犯関係になる、の3点。

です。

冒頭にも書きましたが、プロセスエコノミーに関する知識が欲しかったらこの一冊でOKというくらいまとまっています。

ご興味ある方はぜひ、本書を手に取ってみてはいかがでしょうか?

 

また、プロセスエコノミーに関しては、この言葉の生みの親でもあるけんすうさんのnoteにもわかりやすくまとまっていますので、そちらのリンクも張っておきます。

https://kensuu.com/n/nf4270e069c20

こちらのnoteの記事は本書でも長文で引用されています。

【けんすうさんの経歴など】

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%91%E3%82%93%E3%81%99%E3%81%86

今回は以上です!!

ではまた!!

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