みなさん、こんにちわ。
本ブログの管理人のRRです。
今回は、エンタメ社会学者の、中山淳雄さんの推しエコノミー「仮想一等地」が変えるエンタメの未来について解説していきます。
本書の印象を一言で表すと、
「令和のエンタメの教科書」
です。
著者オリジナルの
- 定性的なコメント
- 定量的な統計資料
どちらにおいても良質な情報ばかりの一冊です。
エンタメ産業に関わる人なら必読の1冊です。
また、エンタメ産業以外の方も本書に掲載されている理論を使って、集客や商品品質向上に応用できると思います!
そんな有用な1冊を要約します。
では、いってみましょう!
推しエコノミー「仮想一等地」が変えるエンタメの未来を読んで得られる学び
推しエコノミー「仮想一等地」が変えるエンタメの未来を読んで得られる学びとしては、
- 令和時代のヒットを生む型
- 令和時代のエンタメ消費者の変化
- 日本のエンタメの強みとその活かし方
の3つかなと、個人的には思います。
このように書くと、エンタメ産業に従事している人以外は関係ないと思われるかもしれません。
繰り返しになりますが、けして、そんなことはなく、この手法を応用して様々なビジネスに活かせます!
ぜひ、推しエコノミー「仮想一等地」が変えるエンタメの未来を手に取って、ご自身のお仕事に活かせるエッセンスを見つけてみてください。
「仮想一等地」が変えるエンタメの未来
推しエコノミー「仮想一等地」が変えるエンタメの未来は、とても骨太の一冊です。
具体例も豊富で学びの多い一冊ですが、今回は管理人的に最も重要と思う「仮想一等地」について解説させていただきます。
仮想一等地で熱狂する仕組みを作るとバズる
推しエコノミー「仮想一等地」が変えるエンタメの未来というタイトルのとおり、キーワードは仮想一等地です。
ここでいう仮想一等地とは、
ネット上で人が集まってコミュニケーションをする場所
です。
このように書くと、
「なんだSNSと絡めて、なんか展開すりゃあいいのか」
と、思う方もいるかもしれませんが、それだけではありません。
ここにライブ化という要素を付加することで、バズりやすい状況になります。
本書でいうライブ化とは、
コンテンツがオンラインにつながり、ソーシャルな対人で随時反応がアップデートされ続けること、画面の中が生のものとして常に生々流転されることを「ライブ化」と呼んでいる。
引用:2021.10、朝日メディアインターナショナル株式会社「推しエコノミー「仮想一等地」が変えるエンタメの未来」著:中山淳雄
ちょっと難しいので、個人的に意訳すると、
リアルのライブと同じ状況
という意味で私は理解しています。
要するに、
インターネット上において、
- 多くの人たちで同じ時刻・空間で盛り上がれる
- その盛り上がりの様子をみんなが見渡せる
といった条件が必要になります。
この条件を満たした仮想一等地をつくることができると、コンテンツがバズるための空間は整えられているといえます。
オフラインイベントと同じ状況をデジタルで作れ!
仮想一等地で多くの人が同じ時刻・空間で盛り上がれて、それを俯瞰して見れる状況を一言で表すと、
「リアルイベントのオンライン版」
と個人的には捉えています。
みなさん、コンサートやスポーツなどリアルで見ることの価値の高さってどこにあると思いますか?
私はリアルイベントの価値って、
「同じ時刻・空間で大勢でコンテンツを通して感じられる非日常的熱狂」
だと思っています。
この熱狂ってオンライン化できるはずかないと思っていました。
しかし、最近になって、この熱狂がオンライン化されているケース、いわゆる仮想一等地が多く出てきたんです。
今、ゲームがアツい!!
今、リアルのイベントのような盛り上がりを見せる仮想一等地が事例としてバンバン出ています。
特に顕著なのが、ゲームです。
ゲームのすごい点は、
①コミュニティ性
同じゲームを楽しんでいるという共通言語があることで、仲間意識が生まれやすく、コミュニティが生まれやすいです。
②継続性
- モノをあつめたい
- つながりたい
- 癒やされたい
- 人に勝ちたい
など、ゲームは人間の根源的欲求を満たしてくれます。
この強烈な充足感により、人はゲームに多くの時間を投下してしまいます。
③圧倒的人数で同じ空間で同時に
コロナ禍におけるエンタメ界の最もホットな話題がトラビス・スコットのフォートナイト内でのコンサートライブです。
このコンサートには全世界で1230万人が同時に同じゲームという空間で視聴しました。
見たことない方はぜひこちらのYouTube動画でご覧になってみてください!
今までにない体験ができるはずです!!
※解説動画たくさんあるのでいろいろとためしてみてください!
ちなみに動画に映っているオーディエンス数が少ないのは、サーバーの問題で一度に同じ世界に入れる人数に限りがあるからだそうです。
さすがに1230万人が、同時に同じ世界で好き勝手に動けるような処理速度は実装できていないそうです。
なので100人単位くらいのワールドが一度に何個もできていて、同時進行で鑑賞している状態です。
なので友人と一緒にフォートナイトの世界に入るといったことは出来なかったみたいですね。
このあたり、少し熱狂感が落ちてしまうのが現状です。
とはいえ、近い将来、通信速度が上がったら1230万人が同じ空間でライブを楽しむというトンデモ空間が出来上がるかもしれません!
音楽ライブとしては史上最大の観客動員になったこのトラビス・スコットのフォートナイト内でのコンサート。
リアルイベントでしかできないと思っていた熱狂エンタメ体験がオンラインでもできるようになった。
そう実感させる歴史的瞬間のように私は思えました。
ゲームがあらゆる領域を侵食していく
トラビス・スコットのフォートナイトでのコンサートは、ゲームがあらゆる領域を侵食していく可能性を示しました。
お伝えしたとおり、コンサートはできますし、その他イベントなんでも実施可能です。
歌舞伎や落語だって開催できるでしょう。
イベントにおけるデジタルグッズ販売などもフォートナイト内で可能です。
アパレルもすでに販売済みですし、家具や不動産も取引されています。
ゲーム世界の中に多くの人々が集まり、時を過ごし始めているんです。
ゲームが人々を取り込み、あらゆる体験を提供することで、リアル世界に存在する産業を飲み込んでいく日が来るのかもしれません。
物理世界が中心だった20世紀においては「そんなリアルじゃない世界でなにかを買ったって無駄だよ」と思うかもしれないが、すでにデジタル内にも社会的空間があり、どう見せるかということに人々が新しい消費行動をしてきたことは、過去20年のHPやブログ設置ブームやソーシャルゲームブームをみても、理解できない話ではないだろう。
引用:2021.10、朝日メディアインターナショナル株式会社「推しエコノミー「仮想一等地」が変えるエンタメの未来」著:中山淳雄
テレビ離れが加速
ここまでゲームの躍進を述べてきました。
ここで、エンタメメディアのトップを走ってきたテレビについて言及したいと思います。
「近年、テレビの存在感が下がってきている」
「テレビはもうすでにヲワコン化している」
なんて言葉をよく聞きます。
テレビっ子の私としては、聞き捨てなりませんが、体感としてNetflixやYouTubeなどを視聴している時間が延びてきているのは否めません。
データとしても特に若者がテレビ離れが進んでいることが如実に表れているデータも出てきています。
テレビはまだまだ捨てたもんじゃない説
とはいえ、
「テレビもまだまだ捨てたもんじゃない!」
そう思わせてくれる事例がこのコロナ禍に起きています。
それが、
TBSの日曜ドラマ「半沢直樹」
です。
半沢直樹は、2020年のコロナ禍において歴史的高視聴率をたたき出したテレビ番組です。
最終回の総合視聴率は44・1%と圧倒的視聴率です。
この要因として共通しているのが、テレビの強み×Twitterとの連動です。
ここでいう、テレビの強みとは、人々を習慣的に動員する力です。
半沢直樹でいうと、毎週日曜日夜9:00からは半沢直樹を見ながら、Twitterを回遊するという習慣に多くの人たちを動員しました。
日曜日の夜9:00から同時に視聴することで、ユーザーが体験を時間的に共有することができます。
同じ時間にファンがTwitterに集まるので、Twitter内で集団の力が働きやすく、熱狂が生まれるんです。
そして、その熱狂が熱狂を生み、半沢直樹に感心が薄かったツィッター民も巻き込んでの祭り状態になります。
それでいて、Twitterでの第三者のツィートの”いいね”の数や、コメントそのもののユーモアから熱狂を見渡せることができるわけです。
まさに自宅の茶の間でテレビを見ながら、Twitterという仮想一等地でライブを楽しんでいる状態です。
その結果、#半沢直樹は、数時間に50万回もつぶやかれました。
Twitter上で世界トレンド1位になり、世界中で「半沢直樹ってだれだ?」という話題が起きました。
テレビの未来はお茶の間を使ったライブコンサート
半沢直樹の事例からもわかるように、テレビがもつ、
「同時にみんなでエンタメを見ざるを得ない不便さ」
が、人々の感心を一極集中させます。
その集団の力が、仮想一等地と結びつくことで祭りを起こすことができます。
このテレビ×仮想一等地のかけざんをパッケージ化することが出来たら、テレビもまだまだ捨てたものではありません。
空間的アドバンテージ
「テレビがまだ捨てたもんじゃない!」
と思わせるテレビのアドバンテージとして、
日本の家の間取りのデザイン
があげられます。
リビングルームにテレビが鎮座し、その前にソファという「観客席」が用意されている空間は、多少の違いはあれどほとんどの家庭にあるのではないだろうか。
実はテレビにとっての絶対的な優位性はこの「家の間取り」である。
引用:2021.10、朝日メディアインターナショナル株式会社「推しエコノミー「仮想一等地」が変えるエンタメの未来」著:中山淳雄
「各家庭がテレビを中心に部屋が配置されている。」
これが、日本の家の間取りです。
必然的にテレビの周りに多くの人が集まりやすい配置になっているんです。
この構造的アドバンテージは、スマホやPCにはないアドバンテージとなります。
とはいえ、最近の家では、テレビ画面から流れるコンテンツはNetflixやYouTubeという家庭が多いのも事実です。
ですが、それらに対して、テレビ番組はその時間、その枠でしか流れないという不便さによるライブ感で人を惹きつけています。
これからのテレビ番組はライブ性のあるものにより特化していく。
アーカイブ性が強いものは全て他のメディアに浸食される。
そんな未来が待っているかもしれません。
おわりに
いかがだったでしょうか?
今回は中山淳雄さんの推しエコノミー「仮想一等地」が変えるエンタメの未来より、仮想一等地について解説させていただきました。
まとめると、
- ネット上であるけど、リアルのイベント体験から得られるような、多くの人たちで同じ時刻・空間で盛り上がれて、その盛り上がりの様子をみんなが見渡せる場所を、仮想一等地という
- 仮想一等地の最有力候補は、ゲーム。ゲームは非常に多くの人数で同時アクセスが可能であり、人類史上見たことのないような数での同時的な熱狂を生むことができる
- 加えて、ゲームは人間が持つ行動特性や根源的欲求の多くをオンライン化することに成功している。そのことも強みのひとつといえる
- テレビもまだまだ捨てたものではなく、半沢直樹のように「Twitterのような仮想一等地」と「テレビのその時間・その枠でしか見られない不便さ」が連動することにより、大きな祭りを生み出すことができる
です。
この仮想一等地という考え方はエンタメに限らずあらゆる産業のマーケティングなどに応用できるのではないでしょうか?
ぜひ、本書を手に取って、より見識を深めてみてはいかがでしょうか?
ご興味が湧いた方は、こちらよりど~ぞ!
では、また!