みなさん、こんにちわ。
本ブログの管理人のRRです。
今回は村上臣さんの「転職2.0 日本人のキャリアの新・ルール」を要約します。
まず著者の村上臣さんですが、
- 青山学院大学理工学部物理学科卒業。在学中に仲間とともにベンチャー企業を設立
- 2000年にその後統合した株式会社ピー・アイ・エムとヤフー株式会社が合併してヤフー株式会社入社
- 2006年ソフトバンク株式会社による買収に関連して、現ソフトバンクモバイル株式会社に出向
- 2011年にヤフー株式会社を退職
- 2012年から若干36歳でヤフー株式会社の執行役員兼CMOに就任、モバイル事業の企画戦略を担当
- 2017年11月にリンクトインの日本代表に就任。複数のスタートアップ企業で戦略・技術顧問も務める
という経歴をお持ちの方です。
圧巻の経歴です。。。
すごい!
転職もそうですが、起業やメガベンチャーでの働き方や出向とか様々なご経験をされているので、どんな話が出てくるのかとても楽しみです。
本日の記事は以下の方に向けて書いています。
・転職を考えている方(年齢問わず!!)
・現在、転職活動中の方
・就職活動中の大学生、フリーターの方
新しい時代を感じさせる先進的な内容がもりだくさんになっています。
ぜひ、最後までお付き合いいただけるとうれしいです。
では、いってみましょう!
転職2.0の時代の働き方
2021年になり、VUCAの時代の真っ只中において、だれもが我慢して働く必要がなくなる時代がまもなく来ると本書は主張されています。
その理由としては、①終身雇用制度の崩壊、②社員研修の衰退が上げられます。
終身雇用制度が崩壊
会社は一生社員を面倒見てくれるという前提が崩壊していきています。
理由としては、
「変化が激しい時代に長期の雇用を約束できない」
「国際的な競争力を維持できない」
「労働力が不足していた頃に成立していたシステム」
「株主対策としての利益追従型への移行」
などなど様々言われています。
また、会社の平均寿命も短命化する一方で、人々の平均寿命は着実に伸びているとい側面もあります。
2019年の倒産企業の平均寿命は23.7年といわれていますから、20代前半で就職してから40年、場合によっては50年近く働く人生がこれから来るわけです。
そうなると、1社で最後まで面倒を見てもらえるとは、数字的にも思えない時代になっています。
会社が面倒見てくれないという前提ができてしまえば、立場的に会社の強さが弱まり、個人が強くなってきます。
故に、個人が我慢して働く必要がなくなってきています。
社員研修の衰退
2つ目は企業が従業員に満足いく社員研修が施せなくなったからです。
理由としては、管理人の解釈も混じりますが、
- 国際的な競争力も増してきて、収益的にも厳しくなってきたため、かつてのように人材教育費に予算を回せなくなる企業が増えている
- 従業員に多額のコストをかけて教育して長い時間をかけて回収してきたが、変化の激しい時代においては短期的な利益を取れる施策に会社は予算を割いてしまう
などがあげられます。
そうなるとキャリア形成の主体が従業員に移ります。
個人がどのようにキャリアを形成するか、スキルを高めるかを自ら選ぶようになります。
個人の主体性が増すことにより、どのように働きたいかという目標を自ら設定し、自分で働き方を選べる時代になってきています。
「会社が成長を促してくれないなら、別にムリしてこの会社で働くこともないか」
と思う人が増えるのも必然のように思えます。
このような働くという価値観の変換に伴い、転職の捉え方も大きくバージョンアップしています。
そのバージョンアップした内容が、本書の書名のとおりの転職2.0です。
転職1.0と比較してどんな点が変わったのか?
1つずつ整理しながら本書の内容をご紹介させていただきます!
目的:1回の転職の成功→自己の市場価値最大化の手段
転職1.0⇒「1回の転職での成功」を目的とする
転職2.0⇒転職を「自己の市場価値最大化の手段」をと考える
2021 SBクリエイティブ 村上臣「転職2.0」より引用
会社ありき時代の転職1.0は、個人にとって、転職が給料を上げる、働き方を向上させるゴールそのものでした。
回数も2回以上行うと、市場から反対に一つの職場で努力できない人材ではと疑われるリスクも高かったように思えます。
転職2.0になると、転職は複数回を前提に自分の市場価値を高める手段になります。
具体的に言うと、プロジェクトごとに働き、そのプロジェクト毎のインパクトの大きさに応じて働く人の市場価値が評価されるようになります。
例えば、
A社の新店舗立ち上げプロジェクトにアサインしたあと、その立ち上げが軌道に乗ったら、B社の新店舗立ち上げプロジェクトにアサインすべくB社に転職する
ようなイメージです。
ここでB社から評価を受けるときは、A社における仕事のインパクトによって、市場価値が判断されます。
こういった構造に変わると、転職が多いことが、「我慢強くない」ではく、「引く手数多」というイメージをもたれます。
そして、一番気になる自己の市場価値をあげるために重要なことは、
- 期間
- 達成したいこと
を明確にすることです。
これは個人、会社どちらにも言えることです。
大事なのは、自分自身が世の中でどんな貢献ができるかを考えること。特に、一定の期間に何を成し遂げることが出来たかどうかが問われるようになるため、個人は常に「一定の期間内で成し遂げたいこと」を明確化しておく必要があります。
同時に転職者を受け入れる側である会社の意識も変わらなければなりません。単純に「忙しくて人が足りないから採用する」ではなく、「この金額で、これだけの期間内にこういう仕事をしてほしい」と明示し、それを履行できる人を採用し、約束した期間はサポートすることが求められます。
2021 SBクリエイティブ 村上臣「転職2.0」より引用
個人として、
「1年間で飲食店の企画・立ち上げ・売上○○万円達成する店舗づくりが出来る」といったイメージが確立できていれば市場価値も判断されやすくなります。
会社としても、
一定期間だけの雇用で、安定したパフォーマンスの見通しが立つなら条件を上げてのマッチングするのもアリという判断になりそうです。
転職2.0では「期間」「達成したいこと」を明確にして、それをどうやって市場でイメージづけていくかが大事なポイントになります。
行動:情報収集→タグ付けと発信がすべき行動。
転職1.0⇒「情報発信」をする
転職2.0⇒転職を「タグ付けと発信」をする
2021 SBクリエイティブ 村上臣「転職2.0」より引用
転職1.0では転職サイトや転職エージェントからの情報収集が重視されていました。
ここでいう情報とは、そもそもの求人情報や社内の風土・文化などの情報です。
転職前のイメージと、転職後に働いてみてのイメージのギャップをなくすためには必要不可欠な行動でした。
転職2.0になると、タグ付けと発信が最も重要な行動になります。
ここでいうタグ付けとは、「SNSでハッシュタグをつける」ようなイメージで個人の強みをキーワード化しておくことです。
そして、そのキーワードをどんどん発信することが重要です。
発信すると、
- 企業から直接声がかかりやすい(いわゆるダイレクトソーシング)
- 友人から推薦・紹介を受けやすい(リファラル採用)
- 情報が集まりやすい
- 一貫した情報が発信できていると転職の際にミスマッチが生まれにくい
など、おいしいことしかありません。
SNSでの発信も少し抵抗ある方多いとは思います。
ですが、これからは呼吸するように発信はすべきとのことです。
「とはいえ、タグなんてつけられません。。」
という声があがりそうですが、この部分は重要なところなので、後編の記事で解説したいと思います。
考え方:スキル思考→ボジション思考
転職1.0⇒「スキル思考」で考える
転職2.0⇒「ポジション思考」で考える
2021 SBクリエイティブ 村上臣「転職2.0」より引用
ここでいうスキル思考とは、
ビジネススキルを取得すると転職や昇進に有利となると考える思考法
です。
対して、ポジション思考とは
目指すべきポジションを明確にしてその目標を達成するために自己啓発や転職を選択する思考法
です。
転職1.0時代はそれこそ「総合職」という言葉が物語るように、終身雇用を前提としているので、企業内で活躍できそうなスキルをあれもこれも習得していく時代でした。
転職2.0は目指すポジションが先にあり、そのポジションを得るために必要なスキルを学習し、転職を利用する時代になります。
「目指すポジションによって学ぶべき内容や行動ってそんなに変わるのか?」
という疑問があるかと思いますが、例えばマネージャーと専門職でも大きく学ぶことやキャリア形成は大きく変わります。
マネージャーを目指すなら、どこかのタイミングで、マネジメントやコーチング、ファイナンスなどを学ばなければなりません。
専門職を極めたいなら、その道のスキルにさらに磨きを上げる必要があります。
日本だと年功序列の企業が大半なので、向き不向き関係なく、
「年次が来たので課長」
「優秀でリーダーシップもあるけど、年次が浅いのでまだ係長」
といったケースはたくさんあります。
適正というより、年功序列でポジションや待遇を判断しているためです。
これからはこのようなことが減り、ポジションにおける優劣というよりは、アウトプットの優劣できちんと評価される時代が来るとのことです。
たしかに外資系企業などではポジションでの給与の優劣はなく、会社に貢献している度合いで給料が高くなるという会社があります。
現に、そういった会社は経営層より給料の高い営業職がざらにいるようです。
このような時代の変化をいち早く捉え、ポジション思考で自己のキャリアを考えることがこれからは重要となります。
得意でもないのに年功序列という理由だけでポジションを与えられることは、個人も会社もお互いにとって不幸なことですしね。
価値基準:会社で仕事を選ぶ→シナジーで仕事を選ぶ
転職1.0⇒仕事を「会社」で選ぶ
転職2.0⇒仕事を「シナジー」で選ぶ
2021 SBクリエイティブ 村上臣「転職2.0」より引用
転職1.0においては、「会社で仕事を選ぶ」時代でした。
要するに企業の就職ランキングの上位から面接を受けるやり方です。
「正直、なにが悪いのか?」と2000年代後半に就職した私からすると思ってしまいます。
就職ランキングの上位企業にいることが、ブランドであり、ビジネスマンとして優秀であることの証明でした。
ですが、その様子が大きく変わってきています。
理由はやはり、終身雇用制度の崩壊と、企業買収の活性化などです。
承認されやすい評判の良い企業に入れば安泰と思って、多少不満があっても我慢して働けましたが、終身雇用制度の崩壊によって安泰ではなくなっています。
加えて、企業に所属していることへの満足感で、ある程度がんばることが出来たのに、ある日突然会社が買収されて子会社の社員となってしまうこともあります。
(別に就職ランキングの上位に勤めていた訳ではありませんが、管理人は後者の経験者ですww)
安定を象徴していた銀行ですら、最近では近い将来に淘汰されると言われ始めています。
くわしくはコチラ
自分がよりどころにしていた企業の権威性が低下、もしくは消失する危険性が高まっていると言えます。
このような時代になり、「会社で仕事を選ぶ」のはリスクが高いと言わざるを得ません。
じゃあどうなるか?
結論としては、「シナジーで仕事を選ぶ」時代になることが予想されています。
シナジーとは会社が求めるものと個人の強み・やりたいことがリンクしている状態です。
こうなると会社としても求める結果を得やすいですし、個人も仕事へのモチベーションも高い状態で働くことができます。
環境が整うと、キャリアアップにつなげられる結果を出せる可能性が高まります。
このようにシナジーで仕事を選ぶことが重要になります。
もちろん、このシナジーを生むためには、
シナジーを重視する場合、個人は自分の経験や能力を会社がちゃんと活かしてくれるのか、またそれをさらに伸ばすための投資をしてくれるのかという視点で会社を選ぶようになります。一方会社側は、適切に投資すればハイパフォーマーとして活躍して成果を出してくれる人を積極的に採用するようになります。
2021 SBクリエイティブ 村上臣「転職2.0」より引用
といった相互の理解も必要になります。
また、さきほどお伝えしたタグ付けと発信が必要になります。
ここでも出てきましたタグ付けと発信はとても重要な話なので、繰り返しになりますが、別の記事で深く掘り下げます!
人間関係:人脈づくり→ネットワークづくり
転職1.0⇒「人脈作り」をする
転職2.0⇒「ネットークづくり」をする
2021 SBクリエイティブ 村上臣「転職2.0」より引用
転職に限らず、ビジネスにおいて人脈が必要というのは何度も耳にする言葉だと思います。
ここでいう人脈とは、
狭く深い、強いつながりのある関係。自身に近いコミュニティに偏り、win-winにはなりにくい関係
のことを指します。
人脈に対する信奉はなかなか強くて、自己の能力を高めることすら忘れて人脈作りにだけに注力する人すらいます。
最近は見かけなくなりましたが、カードコレクションみたいに名刺交換をすることが趣味なおじさんとか職場にいませんでしたか?
この人脈最強説にもこれから変化が起きます。
これからは人脈ではなく、ネットワークが重要な時代になるようです。
ここでいうネットワークとは、
広くゆるく、弱いつながり。直接仕事をしたことがない、同じ組織に属したことがない人も含まれるくらい多様性のある関係。win-winの関係が前提。
という関係を指します。
なぜ広くゆるい弱いつながりであるネットワークが重要になるかというと、キーパーソンとつながる必要があるからです。
キーパーソンというのは、
企業やプロジェクト、業界などを横断して関係性を構築している人
のことを指します。
キーパーソンとゆるくつながっていて、自身のタグを伝えられていると、キーパーソン本人や彼らの近くにいる人から声をかけられて、転職できるチャンスも増えます。
実際に日本でもダイレクトソーシングやリファラル採用が増えているといいます。
なので、多くのキーパーソンとゆるくつながることで、声をかけられる率が格段に上がります。
こういった視点で考えると、「ネットワーク」を重要視することが、これからの時代のトレンドになるという話はとても納得できます。
おわりに
いかがだったでしょうか?
本日は、
- 終身雇用制度の崩壊や企業研修の衰退により、キャリア形成の主体が企業から個人へ移行してきた。その結果、ひとつの企業に我慢しながらしがみついて働く時代が終わりを告げようとしている
- 転職の目的は市場価値の最大化になる。転職が給料を上げるためあくまで手段であり、その手段の有効性を高めるためには必要なことは「期間」と「成し遂げたいこと」を明確にすること
- 自己の強みを整理してタグ付けし、タグを呼吸するようにどんどん発信していくことが重要。転職2.0では、スキル思考でやみくもに転職や自己啓発をするのではなく、自分が目指すポジションをまずは設定して、その目標のために自己のスキルを高めていくべき
- 会社で仕事を選ぶのは、我慢して働く環境を自ら選択しているのと同じ。会社の名前ではなく、自分の強みと会社の求めているところが合致する職場を選ぶべき
- せまい人間関係での結びつきを強めるのではく、広くゆるくネットワークを構築して、多くのキーパーソンと弱くつながることの方がキャリア形成において重要
という話をしてきました。
管理人にとってはかなり目からうろこな話ばかりでした。
転職なんて考えたこともなかったですし、40歳間近なのでもう年齢的に不可能と思い込んでいました。
「やり方によってはまだまだこんな私にもチャンスがある?」
そうワクワクさせてくれる本です。
他にもたくさんおもしろい話があります。
興味が湧いた方、ぜひ本書を手に取って見てはいかがでしょうか?
本日は以上です。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。