マネジメント

「1兆ドルコーチ」今をときめく経営者たちをコーチした人物像はいかに!?

みなさん、こんにちわ。

本ブログの管理人のRRです。

 

今回、ご紹介する本は「1兆ドルコーチ」です。

2019年の本なので、もう2年前の本になります。

当時、書店にかなりの数平積みされていたので、よく目に留まっていました。

そのとき、

「1兆ドルってどういうことなんでしょ?」

と、思いながらも当時はコーチングに全く興味がなかったので、特に注目しなかった本書。

私も管理職が目前に迫り、最近コーチングを勉強し始めたので、そういや「1兆円だかドルだかなんかコーチングの本あったな~」と思い出し、このたび本書を読んでみました。

 

本書の感想をひとことでいうと、

「人間的魅力こそ最大のビジネススキルである」

という点です。

なぜそう思ったかを深掘りしながら、本書のエッセンスを私なりに紹介します!

ちなみに本記事は、

  • コーチングに興味がある人
  • リーダーとしてチームを牽引している人、また、これから牽引する人
  • 職場で部下や後輩をマネジメントする立場の人

に向けて書いています。

では、いってみましょう!

1兆ドルコーチはビル・キャンベル氏

本書はビル・キャンベル氏(以下、ビル)をモデルとしてコーチングについて語られている本です。

ビルはアメフトのコーチとしてのキャリアスタートさせます。

39歳でアメフトを引退し、ビジネスの世界に入ります。

アメフトコーチ出身でありながら、コダックやAppleで働いて結果を出し、企業のプロ経営者としても結果を残しました。

その後、ビルが得意としていた人材育成の能力を特化させエグゼブティブコーチとしてのキャリアをスタートさせます。

ビルが生涯でコーチした人物は、

  • グーグルのラリー・ペイジ、セルゲイ・ブリン、エリック・シュミット、サンダーピチャイ
  • アップルのスティーブ・ジョブズ、
  • アマゾンのジェフ・ベゾス、
  • Twitterのジャック・ドーシー
  • Facebookのシェリル・サンドバーグ
  • アンドリーセン・ホロウィッツのベン・ホロウィッツ
  • 元アメリカ副大統領のアル・ゴア

※他にも著名な人物がたくさん!

など名だたる人物がいます!!

そして、この1兆ドルというのは、ビルの年収や資産が一兆ドルではありません。

ビルがコーチした数々の会社が成長させた市場価値の合計を指します。

ちなみに、現在の価格で言うと、もはや2兆ドルに近い価値をビルは生んでいると言われています。

この価格が物語るように現在、時代の頂点にいる企業がシリコンバレーのスタートアップだったころ、それら企業の裏側にコーチとしてベンがいたようです。

そんなビルのコーチとしての人柄やスキルをコーチを受けた側の人たちがまとめたのが本書になります。

https://diamond.jp/articles/-/227336

ビルのチームにもたらす5つの力

ビルは、コーチする個人やその個人が属するチームに対して常に4つの力をもたらしていると管理人的に感じています。

その5つが

  • 心理的安全性
  • 明瞭さ
  • 信頼関係
  • チームファースト

です。

この5つを作るためにビルがどういうことに取り組んできたかが本書で描かれているので、

管理人的にまとめてみました。

心理的安全性、「ここにいていいんだ」って大事

対人リスクを負ってもなお、「ここにいていいんだ」とみんなが思える。

そんな安全性があるチームを作ることで、みんなが高いパフォーマンスを発揮することができます。

また、相互の弱点を補完しあえるようになります。

ここでいう対人リスクとは、意見が違っても主張し合える関係と私は理解しています。

なので、心理的安全性は、みんなの意見が一致していて、気の合う仲間が集まっているチームという意味ではありません。

むしろ、意見が合わないけど、その相違をきっちり議論し合える。

それでもなお、メンバー全員がきちんと帰属意識を感じられる。

そういう安全性のある組織を指します。

ビルはこれをトップ自ら体現すべきだという趣旨の発言をしています。

こうやってトップ自ら心的安全性のある組織を作るんだと示してくれると社員としてはうれしいですよね。

明瞭さがある人の周りに人は集まる

ビルは常に明瞭快活・率直な人間でした。

言うことに嘘はなく、

  • 部下を無理して褒める
  • 遠慮して本音を話さない
  • 忖度する

などは一切せず、思ったことを正直に言う人でした。

私(管理人)としては、なんでも思ったとおりに発言すると、他者との軋轢を生むと思ってしまいます。

ところが、ビルは言い方・伝え方・タイミングに関して最大限に配慮していたので、軋轢を生むことはなかったそうです。

思ったことは言うけど、他者を傷つけたり、メンツをつぶしたりしないようにする。

そういった細かい配慮により、なにを言っても許されるようなキャラクターづくりがされていたそうです。

(このあたりの具体をもうすこし深く掘り下げて欲しかったと思ったりもしつつ。。。ビルがすごいから出来たよねっていう書き方にはなっています。もちろん、そこから学ぶことはたくさんあります!!)

愛だろ、愛

ビジネスに愛を持ち込む男がビルです。

要するにメンバーをひとりひとりをとても大切にするということです。

  • メンバーの名前を覚える
  • メンバーの家族やプライベートに興味を持つ
  • いつもメンバーに温かい言葉をかける
  • 時には拍手喝采で派手に応援する

これらを言葉より行動で周囲に示したのがビルです。

ここまでしてもらえるとみんなビルを信頼するのも当然です。

人を大切にするには、人に感心を持たなければならない。

引用 2019ダイヤモンド社 エリック・シュミット他「1兆ドルコーチ」

と、ビルは考えていました。

なぜかここまで人を大切にするかというと、個人個人の優しさがあってはじめて、組織全体のやさしさにつながると考えていたからです。

そのため、まずは個人へのアプローチからじゃないと組織全体に心的安全性が広まらないとビルは考えていました。

信頼関係、絆が人を強くする

人と愛を持って信頼関係を築くのがビルのスタイルです。

そして、この愛を前提としたコミュニケーションによって、チーム個人個人が愛のあるコミュニケーションスタイルをし始めます。

そして、チーム内に信頼関係が生まれます。

その後、この信頼関係ベースにコミュニティが生まれ、コミュニティ内で絆が生まれます。

こういったメカニズムでビルは社内に多くの絆を持ったコミュニティを作っていきました。

絆でつながったコミュニティは個々の能力を足し算ではなく、掛け算でアウトプットが大きくなります。

互いに深く得意不得意を理解し合い、尊重していることでお互いを補いつつ、伸ばすことができるからです。

ビルはそのことを知っていて、社内に多くのコミュニティを作るように働きかけました。

チームファーストが組織を強くする

ビルはアメフト出身ということもあってなのか、チームファーストの精神を持っています。

個人でがんばるより、チームとしてがんばるほうが高いアウトプットが生まれると考えているからです。

そうなると、どうしてもチームの目標と個人の目標の間で乖離が生まれる人も現れてきます。

そういう人をいかにマネジメントするか、もしくはそもそもチームに加えないかを考えることが大切です。

一番やってはならないのは、コーチを受ける気もない人をチームにアサインすることです。

いわゆる人の意見を聞く勇気がない人です。

こういう人はチームと個人の目標が合わなくなったときに、チームファーストを伝えても望む行動をしてくれない可能性が高いです。

チームに選ぶ正しい資質を持った人材をビルがどう定義していたかというと、

ビルは4つの資質を人に求めた。まずは「知性」。これは勉強ができるとうことではない。さまざまな分野の話をすばやく取り入れ、それらをつなげる能力を持っていることだ。ビルはこれを「遠い類推」{かけ離れたものごとをつなげる発想}と呼んだ。そして勤勉であること。「誠実」であること。そして最後に、あの定義の難しい資質、「グリット」を持っていること。打ちのめされても立ち上がり、再びトライする情熱と根気強さだ。

引用 2019ダイヤモンド社 エリック・シュミット他「1兆ドルコーチ」

ビルが最も嫌ったのは、学ぶことをやめた人たちだ。質問するより答える方が多い?そいつは赤信号だ!ビルは貢献意欲、それも個人的な成功だけでなく、組織の大義に貢献する意欲を持っている人を集めた。チームファーストだ!

引用 2019ダイヤモンド社 エリック・シュミット他「1兆ドルコーチ」

といったところがあげられます。

また、本書で紹介されているスンダーピチャイの発言も示唆深いので紹介すると、

ときとして、より大きな成果を得るために、誰かが何を犠牲にしなくてはならないことがある。僕はそういうときのシグナルにオーバーインデックス(大いに注目)している。自分とは直接関係のない、ほかの部署の成功を喜んでいるときだ。そういうことに目を光らせるんだ。

引用 2019ダイヤモンド社 エリック・シュミット他「1兆ドルコーチ」

私自身、「能力が高い人」の定義にスキルばかりに注目していて、”貢献”とか”協力”っていう人間的な価値あまり含んでいなかったのですが、貢献・協力もビジネススキルとして高い価値があるんだということに気づかされます。

実際に本書でも、

ビルはすべての人をまるごとの人間として理解し、そうすることによって彼らにビジネスバーソンとして力を発揮させた彼は人間的価値を高めることがビジネスの成果をもたらすことを知っていた。

引用 2019ダイヤモンド社 エリック・シュミット他「1兆ドルコーチ」

とも紹介されています。

おわりに 管理人的まとめ

いかがだったでしょうか?

本記事では、

  • 1兆ドルコーチとは、ビル・キャンベル氏のことを指し、彼がコーチしてきた企業の向上した価値の合計が1兆ドルを優に超えることからそう呼ばれている。
  • ビルのコーチには心理的安全性、明瞭さ、愛、信頼関係、チームファーストの5つがポイントである。
  • 人間的価値を高めることがビジネスの成果をもたらすことにつながる。貢献、協力も高い価値を持つビジネススキルである。

という内容をお伝えしてきました。

本書で学べるビルのやり方は、非常に勉強になります。

とはいえ、正直簡単にはいかないことばかりです。

特に、

  • 率直に意見を言いいつつも、他者への配慮を忘れず
  • 他者に関心を持ち、他者を愛することから信頼関係を構築しよう
  • 貢献や協力、素直など人間的価値を高めよう

など、言語化すると腹落ちはしますが、実践するのは相当な訓練が必要だなという印象です。

このあたり、アドラ-心理学とも似た価値観ですし、訓練が必要というのも同じだと思いました。

いずれにしても「1兆ドルコーチ」ですから、簡単に再現できないのは理解はできます。

簡単に出来たら、みんな1兆ドルコーチ状態です!

世界の企業の時価総額合計額がいくらあっても足りません。

 

本書で書かれているエッセンスをどこまで自分に落とし込めるか?

そういう思いを持って、長い期間繰り返しながら本書と向き合っていこう。

そう思わせてくれる一冊でした。

興味が湧いた方、ぜひ本書を手に取ってみてはいかがでしょうか?

 

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