中国経済、急成長の理由を読み解く
みなさん、こんにちわ。
本ブログ管理人のRRです。
今回は井上達彦さん、テイ雅方さんの共著「世界最速ビジネスモデル 中国スタートアップ図鑑」を要約します。
本書の内容を一言でお伝えすると、
「Chain is NO.1。。。なんでしょうね~。。。」
です。
かつて、
「ジャパン・アズ・ナンバーワン」
と、賞賛された時代が日本にもありました。
その要因として、
・家族主義
・メインバンク制、企業グループなどの関係性
・新卒一括採用、終身雇用、年功序列により幹部社員の忠誠心を確保した雇用制度
・長期的収益、永続的発展のために福利厚生施設の設置しての社員研修の充実
などなど、日本独自の要素が数多くありました。
そして、その要素が他国からは簡単に真似できないものでもありました。
そういった、かつての日本のように他国が簡単に真似できない、独自の経済成長の要因が今の中国には数多くあります。
今回はその要因を読み解いていきます。
では、いってみましょう!
急成長している中国のスタートアップ企業たち
今の中国経済を支えるのはなんといっても、中国のスタートアップ企業たちです。
大きく3つの世代に分けられています。
本書で紹介されている定義を紹介すると、
第一世代
インターネット革命にあわせて誕生。GAFAと争うレベルの世界的超大企業。中国経済発展の礎を築く。第二世代、第三世代を支援する役割も果たす。
第二世代
スマホやクラウドサービス、IoT家電、O2Oサービスにあわせて誕生。第一世代のインフラやサービスを使い倒して急成長した企業立ち。自らプラットフォームやインフラを整備して第一世代と方を並べようとする企業も現れる。
第三世代
ビッグデータ、決済インフラの整備後にあわせて誕生した企業。今、まさに世界最速の成長を遂げている。第一世代、第二世代が作ってきたインフラ・サービスを使い倒して
です。
これらの3世代のスタートアップ企業たちが有機的に連携して中国経済の発展の礎になっています。
なぜ中国のスタートアップ企業は急成長しているのか
中国のスタートアップ企業が急成長している要因として、本書では大きく3つ述べられています。
中国の経済環境
ひとつめの要因として、中国の経済環境が急成長の要因として挙げられます。
中国の経済環境の特徴としては、
- 市場規模
- 競争の制限
- 独自のプライバシー政策
- リープフロッグ
の4つがあります。
①市場規模
中国の人口は約14億人です。
一国でこれだけの人口がいる国は他にはありません。
国内だけで圧倒的な顧客数を獲得できるのは中国の強みです。
②競争の制限
中国はカテゴリーで言うと、資本主義国ではなく、社会主義国に分類されます。
経済も資本主義と比して、国の保護下に置かれる傾向にあります。
海外からの企業進出を国が制限することで、海外からのライバルとの競争を避けることが出来ます。
これにより、自国の会社で競争させながら、スタートアップを成長させることができます。
③独自のプライバシー政策
欧米や日本と違って、個人情報を国民が国にガンガン差し出します。
環境もデジタル化されているので、利用者の購買情報・決済情報をデータとして、大量に得ることができます。
このデータを活用して、飛躍的に成長するスタートアップが数多く存在します。
④リープフロッグしやすい環境
リープフロッグとは、
経済や社会インフラが整っていない新興国が、先進国を越える発展を見せる現象
を指します。
中国は経済成長が遅れていたがために、もともとあるインフラや既得権者との調整がほぼありませんでした。
ゆえにいきなり先進国の技術を大胆に導入しました。
このように大胆な動きが出来たのも、急成長の要因です。
スタートアップ企業の起業家精神
経済環境のボーナスだけでなく、スタートアップ企業の運営レベルとしても高い企業が多かったことも急成長の要因のひとつです。
経済環境に甘えることなく、世界的にも最先端のスタートアップ企業の運営を行っている企業が数多くあります。
その運営手法の特徴として、
①ビジョンドリブンな一貫した運営
一昔前だと、中国のイメージは利益追従型で粗悪品を販売しているイメージがありました。
ですが、そんな時代は遙か昔の話になっています。
中国の急成長しているスタートアップには大きなビジョンがあります。
シリコンバレーのスタートアップと同じですね。
理想や課題解決、夢の実現などをエンジンとして、急成長しています。
ビジョンがあるから、軸足をブレずに中長期的な成長に向けて、一貫した意思決定ができます。
こういった高い視座を持ったスタートアップ企業増えてきた点が、中国経済を急成長させた要因のひとつになっています。
②創造的な模倣
ビジョンの実現をもとに中国の起業家たちは死に物狂いで勉強してきました。
先人から学ぶのは、成長の最短ルートであることは彼らは理解しています。
多くの起業家の場合、どうしても自分のクリエイティブ性を発揮したい精神が生まれます。
それにより、独りよがりの独自性を追求することをしてしまいガチです。
ですが、中国の起業家たちは、優れたモノは何でも取り込むその姿勢を貫きました。
そうすることで、最速で世界トップのビジネスモデルやテクノロジーを貪欲に取り入れることに成功しています。
さらに、取り入れる際にも自国に合わせて、創造的に模倣をすることを実践しました。
③リーンスタートアップ方式
中国のスタートアップ企業も、リーンスタートアップ方式で仮説検証しながら事業を創造しました。
リーンスタートアップ方式をとることで、事業の失敗率を下げることが可能になりました。
④外部資源の有効活用
さきほど紹介した3世代にわたる中国のスタートアップ企業たちが互いに連携しています。
加えて、サードパーティの活用がとても秀逸な企業が多いです。
本書をもとに具体例で紹介すると、
- テンセント⇒サービスの一部を外部パートナーに委託
- アリババ⇒マーケットプレイスの店舗はすべて外部パートナー
- シャオミ⇒利用者コミュニティで製品開発とプロモーション
- バイトダンス⇒外部のニュース記事や利用者の投稿でコンテンツを作る
- VIPKID⇒英会話スクールの講師の多くは北米の英語教師
- 快看漫画⇒漫画家を育成して作品作り
- 新氧⇒美容整形した患者たちの協力
といった形で社外のリソースを有効に使ったことも中国のスタートアップ企業が急成長した要因のひとつです。
⑤エコシステムの創出
エコシステムとは、
出資者、パートナー、供給業者や顧客から成り立つ協調的ネットワーク
を指します。
中国で急成長しているスタートアップ企業の多くはエコシステムを構築しています。
各企業ごとにエコシステムの特徴はありますが、共通している点としては、
社会的使命によって、ビジョンを打ち立て、模倣も厭わずに創造的にアイデア発想し、大いなる実験精神でプロトタイピングを行い、外部パートナーを巻き込むことでエコシステムを構築するというものです。
エコシステムが活性化すれば成長は加速します。その成長自体が、さらなる外部パートナーを呼び込みエコシステムを活性化させ、事業機会を生み出すという好循環がもたらされると考えられるのです。
引用:2021年5月 日経BP「世界最速ビジネスモデル 中国スタートアップ図鑑」著:井上達彦、テイ雅方
好循環を生み出す仕組みの構築
中国のスタートアップ企業が急成長した最大の要因として、
好循環の仕組みを構築することができた
ことがあげられます。
ここでいう好循環を土壌に例えると、
新しく生まれたビジネス・テクノロジー(第1世代)が土壌をつくり、
土壌からさらに新しいビジネスとテクノロジー(第2世代)が生まれて、
土壌も大きく広がって、豊かさも増しに、
広がって豊かになった土壌から、より新しいビジネスとテクノロジー(第3世代)が生まれていった。
といったイメージになります。
具体的表現すると図(※本書より管理人が再現)のようになります。
また、下図(※本書より管理人が再現)のように、各スタートアップ企業が築いたビジネスにおけるミクロのループと、
各世代で築かれたインフラやビジネスモデルが結びつく世代をまだがるマクロのループが連動しています。
この連動が、有史以来、見たこともないような経済成長を中国は果たした大きな要因のひとつと言えます。
おわりに
いかがだったでしょうか?
本日は
井上達彦さん、テイ雅方さんの共著「世界最速ビジネスモデル 中国スタートアップ図鑑」を要約しました。
本日の内容をまとめると、
- 中国経済の発展を支えているのは、中国のスタートアップ企業の急成長が要因の一つとしてある
- 急成長している中国の経済における環境面の特徴は、①市場規模、②競争の制限、③独自のプライバシー政策、④リープフロッグの4つが挙げられる
- 中国のスタートアップ企業は、経済環境のボーナスだけで伸びたわけではなく、スタートアップ企業のレベルとしても質の高い運営をしていた企業が多かった。
- 中国のスタートアップ企業が急成長した最大の要因として、「好循環の仕組みを構築することができた」ことが挙げられる
- 各スタートアップ企業が築いた「ビジネスにおけるミクロのループ」と、各世代で築かれたインフラやビジネスモデルが結びつく「世代をまだがるマクロのループ」が連動することで、有史以来、見たこともない経済の急成長を実現できた
です。
本書を読んで、中国と日本は、もはや比べられないレベルになっているというのを改めて認識しました。
「質や成熟度では勝っているのでは?」
と、どこか淡い期待も持っていたところもあったのですが、打ち砕かれた感じです。
とはいえ、現状を踏まえて、
- どうやって中国経済・企業と商売していくか
- なにか模倣できるところはないか
という前向きな視点を持つことができる一冊だとも思います。
気になった方は、ぜひ、本書を手にとって見てはいかがでしょうか?
本日は以上です。
では、また。