こんにちわ。
本ブログの管理人、RRです。
今回は北野唯我さんの
「戦国ベンチャーズ ― 人事の天才・徳川家康と曹操に学ぶ、「強みの経営」とは?」
を要約します。
はじめに
戦国ベンチャーズの著者:北野唯我さん
北野唯我さんは本ブログでも既に、
・天才を殺す凡人
・転職の思考法
と、2作を取り上げさせていただいています。
管理人RRが大好きな思想家さんです。
【北野唯我さん】
https://mba.globis.ac.jp/careernote/1210.html
北野さんが書かれる書籍の共通する特徴として、
ビジネスの根本となる思想だが、常に真新しさと手触り感を持って、わかりやすく伝えてくれる本
と個人的に感じています。
本書にもその特徴が現れています。
歴史嫌いでも抵抗なく読めるわかりやすさ
歴史を題材に取り上げた本ですので、歴史に抵抗感ある人はやや苦手意識を持つかもしれません。
ですが、そんな必要は一切ありません。
北野さん自身も、学生時代のテストでは常に赤点ギリギリ!
歴史が大の苦手だったそうです。
ところが、最近になって歴史好きに突如転換したとのことです。
なので、歴史嫌いだった人が、突如歴史好きになるきっかけを、ご自身の原体験をベースにわかりやすく示しています。
- 北野さんがなぜ、歴史好きになったのか?
- 歴史を学ぶと、どういうおもしろさがあるのか?
- 世の中がどう見えてくるのか?
など、歴史嫌いな人でも、「もっと歴史を勉強してみようかな~」と、思いたくなるエピソードもたくさん書かれています。
年功序列制度はヲワコン
本書のポイントを管理人RR的にひとことでいうと、
「日本が飛躍するための鍵は年功序列制度をヲワコンにして、強みの経営を実践すること」
です。
ここでいう強みの経営とは、
人材の強みを活かして共同の事業を作り上げる組織運営
を指します。
本書によると、
・歴史上1代でゼロからのし上がった名将で「年功序列」の人事制度を使った人物はいない
・歴史上、腐敗した政治を行っていた国は常に「年功序列」を採用している。
らしいんです。
- 「年功序列じゃなかったら、どういう人事制度を行っているんだよ?」
- 「強みの経営って具体的にどんな人事制度なんだ?」
という疑問が湧くと思います。
その答えを持っているのが、
- 三国志のスーパースター曹操
- 戦国動乱の覇者・徳川家康
の2人です。
本書では、この2人を中心に、彼らと同じ時代を生きたスーパースターたちの事例が豊富に記載されています。
彼らとの比較の中で、曹操・家康がいかにすぐれた人事戦略を持っていたか。
本記事ではまず曹操についてご紹介したいと思います。
本記事は、
・人事部門の担当者
・中小企業の経営者
・部下をマネジメントする立場のビジネスマン
・ただただ歴史(特に三国志)が好きな人
にとって有益な情報を載せています。
では、いってみましょう!
人事のスーパースター、曹操
日本人のイメージだと、曹操はどちらかという悪役です。
日本だと三国志はたいてい、劉備玄徳率いる蜀のメンバーが人気ですよね!
どちらかというと、残虐なイメージが強い曹操。
横山光輝先生の三国志でもそうですが、油断して大敗するケースも多々あり。。。
諸葛亮孔明みたいに完璧人間のスーパースターとしてはあまり描かれていません。
曹操を主人公にしている三国志のお話は「蒼天航路」くらいしか管理人は知りません。
※これは管理人的におすすめです。偏った見方かもしれませんが、田舎の定食屋とかによく置いてあります。
しかし曹操は、史実では三国志の一国となる魏を建国しています。
また、死後になりますが、魏が蜀・呉を滅ぼしてチャンピオンになります。
三国を統一する礎を作ったという意味では、功績としては№1です。
(もちろん人気もNo.1という人も多いです!)
大国の礎を作った曹操の人事戦略やいかに!?
曹操の人事戦略には2つの特徴的施策ありました。
唯才是挙
唯才是挙とは、「才能を強みによってのみ、評価・登用する」ということです。
才能のみで人を評価する曹操の意思を表しています。
曹操が天下に広く人材を求めるという触れ書きの中に記した一文です。
儒教の教えから、当時の中国は年功序列意識がとても強かったそうです。
なので、唯才是挙の考え方はかなり異質だったようです。
現代の日本でも「才能のみ」で人を判断する組織は少ないですよね。
この発想を中国で、しかも2000年以上も前に実践している曹操。
まさに天才です。
求賢令
求賢令は、唯才是挙の考え方をより具体に落とし込んだ募集要項のようなものです。
求賢令には書いてあった内容を一言でいうと、
「才があれば、その他条件一切問いません。」
です。
家柄、経歴、素行など一切関係なし。
過去にどんな失敗や道徳的に違反する悪さを犯していても、今、才能があればOK。
才能があればやり直しがきく。
自信がある者よ、どんどん集まってこい!!
という曹操の考え方が表れています。
この求賢令を見て、多くの才能が曹操の元に集まったのは言うまでもありません。
曹操という人物とは
唯才是挙や求賢令など革新的な人事制度を構築した曹操ですが、曹操自身にどういった背景があってこのような考え方に至ったのでしょうか?
ここでは、曹操の強さ・人物に関するエピソードをご紹介します。
自分が才能のかたまり
曹操は非常に多彩な能力を持つ才能のかたまりでした。
軍事に関しては、「孫子の兵法」に注釈を入れて、世にその内容を広めることをしました。
今日、私たちが「孫子の兵法」に親しめるのは、曹操が自ら「孫子」を研究し、注釈を付けたおかげでもあります。
大抵、軍事に強い人間は粗暴な人が多い傾向にあります。
ですが、曹操は文学、教養、囲碁、音楽なども一流です。
建安文学というジャンルを作り出すくらい文学センスは高かったと言われています。
このように、トップである曹操自らが才能のかたまりです。
才能が才能を呼ぶともいいます。
それゆえ、あらゆるジャンルで同じ才能を持った人間を嗅ぎ分けることが出来る。
これこそ、曹操の人事がすぐれていた要因のひとつのようです。
敵すらその場でスカウトする異常なスカウト熱
曹操は人を集めることに異常な執着を見せました。
有名な話が、敵である劉備と義兄弟の契りを交わしている関羽を捕まえて、その場で配下にしたことです。
関羽にはそれまでの戦でこっぴどくやられていたんですが、そんなことはお構いなしにリクルート活動をしています。
また、自分の長男である曹昂と、曹操がとても信頼する部下、典韋(三国無双でも同じみ)を失った戦でも同じことをします。
戦を指揮した相手の優秀な軍師賈詡をヘッドハンティングしています。
「よくもわが子と優秀な部下を~!!」
と私情を挟まず、ヘッドハンティングするあたり異常な執着と言えますよね。
正確に能力を把握し、適材適所で人員を配置することが得意
曹操は集めた人材の能力を把握し、適材適所で人員を配置することにも長けていました。
特に強みの経営の考え方で、組織にない強みを持った人材を抜擢人事で配置しました。
抜擢人事は、組織内に嫉妬や羨望という感情を生みます。
そうした感情が時に悲劇を生むイメージもあり、必ずしも良策とは思われてない傾向があります。
しかし、歴史の変換点には必ず必要な人事施策と断言できます。
抜擢が生み出す嫉妬や羨望が、強いエネルギーに変わり、健全な競争が生まれるからです。
抜擢人事を多用したからこそ、曹操は中国をひとつにする魏の礎を作れたのかもしれません。
抜擢人事をシステム化?
具体的にどうやって抜擢をしたか?
曹操は人事基準に”詩文”を加えました。
今でいう”志望動機”を書かせたんです。
そして、人事担当者に文学者を抜擢して、志望動機を見させました。
抜擢人事は過去の経歴など客観的事実で採用するわけではありません。
その人物の未来にかけて、投資するわけです。
未来にかけるということは、その人物が精神的に高い視座を持っていること知る必要があります。
高い視座を前提として、視座が行動に表れ、未来に結果を生む可能性があるからです。
曹操は”詩文”を人事基準とすることで、抜擢採用できるシステムを構築していたといえます。
余談:なぜ歴史を学ぶといい?
「歴史は繰り返す」
という言葉は多くの方が聞いたことがあると思います。
歴史をひも解くと、あらゆるシチュエーションで共通法則かのように同じことが起こります。
この法則を認識しておくことで、
これからの未来をある程度予測できるようになれる。
これが歴史を学ぶことが有効とされる点のひとつです。
本書では、下のように紹介されています。
今回歴史を学んでみて分かったことはいつの時代も繰り返しなのであるということです。
いつの時代も変化は激しかったですし、いつの時代もテクノロジーが職業の形を変えてきました。
だからこそ今、私たちが歴史を学ぶ意味というのは、ただ暗記するだけではなく、先人たちの知恵を学ぶことで物事を立体的に捉え直し、人生に活かすことだと思います。
なぜならほとんどの悩みや問題の答えはすでに歴史が答えを出しているからです。
引用:2021年8月 SHOWS Books「戦国ベンチャーズ ― 人事の天才・徳川家康と曹操に学ぶ、「強みの経営」とは?」著:北野唯我
本書で述べられている曹操、家康の成功法則を用いれば、職場でも圧倒的なパフォーマンスを残せること間違いないです!
なぜなら、歴史が教えてくれているからです!
本書をきっかけに歴史を学んでみるのはいかがでしょうか?
おわりに
いかがだったでしょうか?
本記事では、
- 日本が飛躍するための鍵は年功序列制度をヲワコンにして、強みの経営を実践することである。
- 強みの経営とは、人材の強みを活かして共同の事業を作り上げる組織運営を指す
- 曹操は、才能ある人の強みにだけフォーカスをあてて評価・登用した。それ以外の家柄、経歴、素行とかは考慮に入れなかった。その結果、高いレベルの人材が集まる組織を構築することができた。
- 曹操は自らが多才であったため、いろいろなジャンルの才能に気づくことが出来た。そして、その才能たちを次々と抜擢人事で配置することで、組織の弱みを補完して強い組織を作った。
- 抜擢人事は羨望や妬みを生む反面、健全な競争を組織に生む。この競争が組織を強くする大きな要因になる。
という内容の話をしてきました。
北野唯我さんの著作はいつも刺激的です。
高い分析力でいつも独自の視点での話があり、
独自に切った視点を論理的で、かつ、明快に積み上げていく
とてもワクワクする文章になっています。
ご興味が湧いた方、ぜひ本書を手に取ってみてはいかがでしょうか?
管理人は歴史好き&北野唯我さん好きゆえに、1回でまとめきれておりません。
次回は、本書で曹操と同じレベルでスポットを当てられている徳川家康を中心に語っていきます!
本記事は以上です!
では、また!